ピカシェットの家は、1人の不遇な人生を送る男性が、自己の内面から湧き上がってきた衝動にもとづいて創り上げた芸術作品です。パリから程近いシャルトルの街にあるのでアクセスは簡単です(^^)
「ピカシェットの家」徹底ガイド:目次
グーグルマップを多用しているので通信環境の良い状態でご覧ください。マップの画面が黒くなっていたり、前後の文脈と合ってないなと感じたときは、ページを更新してみてくださいm(_ _)m
シャルトルはパリから南西に約90km離れています。ガリア人が建設した主要な町の1つで、1417年には百年戦争でイギリスに奪われたりもしました。現在はパリ近郊の観光地として人気があります。人口は約38000人。シャルトルへのアクセスは「シャルトル大聖堂:徹底ガイド」をご覧ください。
宿はこちら。(地図に値段が表示されてない場合、拡大縮小してみてください)
パリはフランスの首都であり、ロンドンやマドリードと共にヨーロッパ屈指の世界都市です。1区を中心に20区まで時計回りに並んでいるので「エスカルゴ(カタツムリ)」と呼ばれています。人口は約230万人。
最寄りの空港は2つあります。空港から市内への移動などは「パリ①観光の基本情報:徹底ガイド」をご覧ください。
■シャルル・ド・ゴール空港(CDG)
・国内外合わせて約280都市に就航
・メインの空港
・最新の就航路線一覧
・格安航空券
■オルリー空港(ORY)
・国内外合わせて約110都市に就航
・国内線やヨーロッパの国際線中心
・最新の就航路線一覧
宿はこちら。(地図に値段が表示されてない場合、拡大縮小してみてください)
通貨はユーロ(通貨コード:EUR、記号:€)で補助通貨はセント(¢)。1ユーロ=100セントで、現地では「ウーロ」「サンチーム」と呼ばれています。本日のレートはこちら。
ピカシェットの家へのアクセス
photo by:Patrick
ピカシェットの家はシャルトル駅から東に約2.5km離れています。アクセスはバスか徒歩で、バスは駅前から「Filibus」の「4番」に乗ります。徒歩だと約30分です。
ホントに普通の住宅街で、しかも道路から小道を抜けてたどり着くので迷う可能性は十分にあります(^^;) こちらの「Maison Picassiette(ピカシェットの家)」という標識が出たら到着です。
画面を少し左に回していただくと白い車が大きく写っていますよね。その奥に緑の柵があり、その右には植え込みがあると思います。この間が小道になっているんです。ズームしていただくと、柵に「22」と書いてあり、その下にピカシェットの家の写真らしきものが貼られているのが分かります(^^) そして、小道を抜けると広場のような場所が出てきます。
奥がピカシェットの家で、右に回していただくとトイレがあります。これはありがたいですね( ̄▽ ̄;) トイレを済ませたら中に入っていきましょう。
ピカシェットの家
出典:https://www.chartres.fr/
1・入口の中庭
2・家(母屋)
3・礼拝堂
4・黒の中庭
5・夏の家
6・中庭へのポーチ(縁側のような屋根付きの部分)
7A・彫像の中庭
7B・エルサレムの中庭
8・魂の墓
9・果樹園
こちらが全体図です。まずは①②の部分から。画面をグルっと回して周囲を見てみてください。
壁や地面をモザイクが埋め尽くしていて、周囲の柵は全て花柄になっているのが分かります(,,゚Д゚) 花は1つ1つが大きくてスゴいですよね。この家を造ったのはレイモンド・イシドールさん。1900年に8人兄弟の7番目として誕生しました。
シャルトル市の公式HPの説明によれば、彼は幼い頃あまり恵まれた環境にありませんでした。父親は仕事で遠く離れた場所にいって帰ってこず、母親はあまり優しさを見せてくれなかったそうで、精神的に不安定な状態のまま大人になります。
そのため仕事が長続きせず、劇場の小道具係、鉄道の従業員、鋳造所の職員などを転々としました。そして1924年、彼は3人の子供を持つ11歳年上の未亡人・アドリエンヌさんと結婚します(^^) 1929年には土地を購入し、2人の義理の息子と家を建て始めました。とはいえ、実は最初は普通の家だったんです。
1938年、彼は畑で偶然キレイな陶器のかけらを発見し、「これらの破片を集めて家をモザイクで装飾する」ということを思いつきました。(1931年という情報もありますが、公式HPの情報に合わせます)
彼は毎日ガレキを探し求めて歩き回るようになります。すると周囲の人は、頭がおかしくなったんじゃないかと笑いました。「ピカシェット(picassiette)」は「つまむ(pique)」+「皿(assiette)」で「つまみ食い」という意味があるのですが、そこから転じて「施しを受ける人」「たかる人」という意味で使われることもあります。「ピカシェットの家」というのは、どこか嘲り笑った「拾い物で出来た家」というニュアンスが込められているんですね(´Д`)
また、ピカソをもじったなんていう話もありますが、それにしても「ピカソのような芸術家様がゴミを拾って造り上げた家だよ」というような侮蔑の意味が込められているんだと思われます(T^T) しかし「笑いたいやつは笑え」とばかりに彼は黙々と材料を集め、せっせと家を装飾していきました。
photo by:Julien Chatelain
母屋(②)には3つの部屋があります。こちらはキッチンで、壁にはモン・サン・ミッシェルが描かれているのがわかります。配管までビッシリですね(,,゚Д゚) デザインのモチーフはフランスの有名なものが多く、エッフェル塔やモナリザなども見られます。
photo by:Suzanne
隣は子どもたちの部屋で、壁には川で水を飲むシカなど牧歌的な風景も描かれています。
photo by:Suzanne
こちらは寝室です。壁には砂漠、ヤシの木、ラクダのキャラバン、白いローグを着た人などが描かれていますね。手前に描かれている街がどこなのかは不明ですが、奥にミナレットがある感じからすると、1830年から1962年までフランスの植民地となったアルジェリアの「ムザブの谷」に雰囲気が似ています。
■ムザブの谷のガルダイヤ ■ムザブの谷の女性
photo by:Stefan Krasowski
もちろん、今と違って外国の写真や映像がすぐに見られるわけではないですが、それでもこの壁の絵は明らかにフランスではないですから、何かしらの参考資料はあったと考えられます。アルジェリアが植民地だった時期はレイモンドさんが生きた時代と完全にかぶっているので、どこかで写真などを見た可能性はあるのではないでしょうか。憶測ですが( ̄▽ ̄;)
家の後ろには小さな礼拝堂があります。地図の③ですね。床はアップで見ても比較的モザイクタイルっぽいのですが、天井をアップにしていただくと本当に皿の破片などで出来ているのがよく分かります。質の低い破片は天井に付けてる感じがしますね(^^)
さらに奥に行くと中庭と離れがあります。地図の④~⑥の部分ですね。中央にはシャルトル大聖堂のミニチュアが置かれていて、台座には奥さんの顔が描かれています(*´∀`*) 壁を見ていただくと、一面に様々な教会が描かれていて、離れの屋根の部分にもシャルトル大聖堂のミニチュアがあるのが分かります。
そして、こちらが最奥部の庭です。地図の⑦Aの部分ですね。広いため未完成で終わっている感じがよく分かります。
レイモンドさんは1935年から道路の補修業者となったものの、第2次世界大戦(1939~1945)の時期には石炭倉庫で働いていました。このとき彼は精神病を患ってしまい、数ヶ月間病院の世話になります。家はかなりの部分が装飾を終えていて、次第に訪問客が増えるようになりますが、彼は自己の内面に埋没していき、ますます作業に没頭するようになりました。
photo by:Patrick
そして、64歳の誕生日の前日にあたる1964年9月6日。嵐の夜に外に出た彼は、朝になって道路脇で倒れた状態で発見され、そのまま帰らぬ人となりました。1981年、シャルトル市は建物を買い取り、1983年には歴史的記念物に指定されます。
photo by:Patrick
彼が作業に費やした時間は合計で約29000時間と言われています。使用した破片は440万個に及んでいて、その総重量は15トンにもなるそうですΣ(゚∀゚ノ)ノ 描かれた絵は奥さんのものが非常に多く、彼がどれほど愛していたのかが分かります。
photo by:Julien Chatelain
奥さんが亡くなったのは1986年のこと。97歳で天寿を全うされました。35歳で3人の子供を抱える未亡人だったアドリエンヌさん。その人生はレイモンドさんと出会ったことで大きく変わったのでないでしょうか。
【ピカシェットの家】
・3月15日~11月15日のみ
・月~土:10時~12時半/14時~18時
・日曜:14時~18時
・休み:5/1、5/8、火曜日
※上記以外の時期はシャルトル博物館を通して電話予約すれば訪問可能
以上になります。1人の男の情熱が造り上げた「ピカシェットの家」。ぜひ行ってみてください(^^)
シャルトルは日本語で予約出来る現地ツアーもあります。詳細はこちらからご覧ください。
■サルベーション・マウンテン(アメリカ) |
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ロサンゼルスの砂漠に現れるアート作品で、1人の男性が約30年を掛けて造り上げました。詳細は下記からご覧ください。 |
■シュライン・オブ・ザ・グロット(アメリカ) |
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アイオワ州にある教会で、1人の男性が病気からの回復を聖母マリアに願い、回復のお礼として生涯をかけて建設しました。詳細は下記からご覧ください。 |
■パネロラパーク(オーストラリア) |
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1人のスペイン人移民が造り上げた遺跡風の邸宅で、クイーンズランドでも有名なテーマパークの1つです。詳細は下記からご覧ください。 |
■ミラーハウス(クウェート) |
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アーティスト夫妻が40年かけて手作りした住宅で、今ではクウェートの人気観光地になっています。詳細は下記からご覧ください。 | |
■サグラダファミリア(スペイン) |
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言わずとしれた「未完の大聖堂」で、アントニオ・ガウディが生涯をかけて建設に取り組みました。詳細は下記からご覧ください。 |
■彩虹眷村(台湾) |
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台湾の台中市にある村で、1人のおじいちゃんが造り上げました。「台湾の10大インスタ映えスポット」にも選ばれています。詳細は下記からご覧ください。 |
■三芝頂上寺貝穀廟(台湾) |
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![]() photo by:Outlookxp |
台湾の台北にある、1人の男性がサンゴと貝殻で造り上げた廟で、写真集「奇界遺産」で取り上げられ日本でも知名度を増しました。詳細は下記からご覧ください。 |
■シュヴァルの理想宮(フランス) |
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オートリーヴという小さな村に、1人の男性が33年をかけて造り上げた宮殿です。2019年には映画にもなり世界的に話題になりました。詳細は下記からご覧ください。 |
■クレイジーハウス(ベトナム) |
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ダラットにあるゲストハウスで、1人の女性が1990年から造り始め未だに完成に至っていません。生物的なデザインは、ガウディ建築に通ずるものがあります。詳細は下記からご覧ください。 |
世界には他にも面白いデザインの建物がたくさんあります。興味のある方は「世界の変わった外観の建物総特集」をご覧ください。当サイトで取り上げているものの中から特にスゴい94ヶ所を7つのテーマに分けてご紹介しています(^^)
航空便例 | 日本-パリ(約13時間) |
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ベストシーズン | 春~秋 |
外務省 | 海外安全情報 フランス |
ガイドブック | フランスのガイドブック |
ビザ | シェンゲン協定加盟国。あらゆる180日間の期間内で90日以内の観光、業務目的の滞在はビザ不要。 |
パスポート残存期間 | シェンゲン協定加盟国出国時3ヶ月以上。未使用査証欄見開き2ページ以上。 |
時差 | 夏:-7時間/冬:-8時間 |
チップ | ・レストラン:基本的には不要
・荷物を運んでもらう:2~5ユーロ |
日本への電話 | 00(国際識別番号)と81(日本の国番号)をつけて、市外局番(東京:03など)や携帯電話の090などの最初の0を取る。
例)03-9999-9999へかける場合 |
現地で使えるフランス語 | ①おはよう。
Bonjour.(ボンジュール)
②こんにちは。
③こんばんは。
④ありがとう。
⑤さようなら。
⑥はい・いいえ。
⑦~行きたい。
⑧これがほしいです。
⑨これはいくらですか?
⑩値下げしてくれませんか? |
電圧とプラグ | 220V
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通貨 | ユーロ(通貨コード:EUR、記号:€)で補助通貨はセント(¢)。1ユーロ=100セント。
|
日本大使館 | ・HP |
フランスの絶景一覧 |
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