シバームは「砂漠のマンハッタン」「世界最古の高層ビル群」と称される場所で、日干しレンガで造られた高さ30mにもなる高層建築が、荒野のど真ん中に突如として現れる様子は圧巻です。
「シバーム」徹底ガイド:目次
イエメンは現在「退避勧告」が出ています。渡航はしないでください。
グーグルマップを多用しているので通信環境の良い状態でご覧ください。マップの画面が黒くなっていたり、前後の文脈と合ってないなと感じたときは、ページを更新してみてくださいm(_ _)m
拠点の街はサユーン(セイユーン)。イエメン中央部のハドラマウト地方の中心地で「100万のヤシの木に囲まれた町」と称されます。スルタン・アル=カシーリー宮殿という立派なランドマークもあります。人口は約45000人。
最寄りの空港はサユーン空港(GXF)。現在は内戦の影響でほとんど使われていないようです。
通貨はイエメン・リアル(通貨コード:YER、記号:YR)で、補助通貨は「フィルス(Fils)」。1リアル=100フィルスで、本日のレートはこちら。
空港から市内への移動
photo by:Doannews
空港は市内中心部から北に約3km離れています。市内への移動方法はタクシーかダッバーブ(乗り合いワゴン)です。
シバームは、サユーンから西に約30km離れています。移動方法はタクシーで、所要時間は約20分です。
衛星写真で見ると一帯はこのようになっています。アイコンがシバームです。
大地を這う木の根っこのような模様になっていますが、これは太古の昔に川がつくりあげた大渓谷「ワディ・ハドラマウト」の様子です。全長約60km、幅2km、深さは300mにも及びます。サユーンやシバームは大渓谷の底に造られた街なんですね。少し範囲を広げるとこのようになります。
中央一帯は砂漠や荒野が広がります。サナアとは約600km離れていて、車だと約9時間かかります。衛星写真からも見て取れますが、サナアは標高2300mの高地にあるため、夏でも平均気温は27度ほどです。
さらに範囲を広げると、アラビア半島がほとんど砂漠に覆われていて、国は沿岸部につくられていることが分かります。アイコンがシバーム、青がサナア、緑がドバイです。
そして、こちらがシバームです。東西500m×南北400mという狭いエリアにイエメン様式の高層住宅が約500棟立ち並んでいますΣ(゚∀゚ノ)ノ 多くは16世紀に建てられたもので、1982年に世界遺産に登録されています。
奥の断崖を見ると谷底の街だということがよく分かります。ただ、規模が大きすぎるので周辺はもはや平地のようになっています。画面をグルッと回して周囲を見てみてください。
なんか別な星みたいですね(,,゚Д゚) 「砂漠のマンハッタン」と称されるのも納得です。反対側の奥の方では男の子たちがサッカーをしていて砂煙が巻き上がっています。スゴイ場所で育つ人達がいるんだなーと感じさせられます。
シバームの高層建築はサナアと少し違います。まず高さですが、サナアが4~7階建てで平均約20mに対し、シバームは5~9階建てで平均約30mにもなりますΣ(゚∀゚ノ)ノ
また、サナアでは1・2階部分を石造りにすることで強固な土台にして、現代のビルのような長方形を実現しているのですが、シバームでは1階から日干しレンガが使われていて強度に不安があるため、上にいけばいくほど細くなっています。
■サナア
■シバーム
そして最大の違いは、サナアの高層建築は1つ1つが独立しているのに対し、シバームは上層階に連絡通路が造られていて、建物同士を行き来出来るということなんですΣ(゚∀゚ノ)ノ
外出する機会の少ない女性達は上層階に住んでいて、主に女性達の階がつながっているそうです。たしかにエレベーターも無いので上り下りは一苦労ですから、子育てなどで周囲の協力が不可欠な女性にはありがたい構造です。
ある意味「未来都市」のような構造になっていますが、それを400年以上前に日干しレンガでつくりあげて、しかも今に残っているというのが本当に驚きです。内部の造りについてはサナアのページをご覧ください。
奥が旧市街で手前が新市街です。新市街の裏にある岩山は登ることができて、上にも「コーカバン」という街が築かれています。シバームとコーカバンは兄弟都市で、シバームが農業を、コーカバンは軍事を担っていました。
約350mの高低差があるので登るのは大変ですが、上からはシバームの高層建築を眼下に一望できるのでオススメです(^^)
ちなみに、屋根に塗られているのは漆喰です。日干しレンガなので、これを塗らないと雨で崩れてしまうんですね。なので、モスクやお金持ちの家ほど多くの面積が白く塗られています。
サナアと同じでシバームの歴史も非常に古く、紀元前8世紀頃にはハドラマウト王国の都として存在していたとされています。ちなみに「シバーム」という名前には「シバの女王の息子」という意味があります。シバの女王は旧約聖書に登場する人物で、一説にはシバ国が現在のイエメン西岸にあったとされています。
シバ国やシバームは「樹脂からつくる香水の原料」である「乳香(にゅうこう)」の産地として栄えたとされていて、それを狙う遊牧民や盗賊から街を守るために城壁を築き、狭い土地を活かすために高層建築が発展したと言われています。
■乳香
また「千夜一夜物語」に登場する「シンドバッド」の故郷という説もありますΣ(・∀・;) 確かに言われてみれば、シンドバッドが大鷲と肉を利用してダイヤモンドを手に入れた谷と似ているのかもしれません。
以上になります。様々な伝説に登場する砂漠のマンハッタン「シバーム」。イエメンが平和になったら、ぜひ行ってみてください(^^)
■アルベロベッロ(イタリア) |
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とんがり屋根の「トゥルッリ」という伝統住居が並ぶメルヘンチックな町です。詳細は下記からご覧ください。 |
■カンドヴァン(イラン) |
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カッパドキアを小さくしたような奇岩群で、その中には住居が造られ今も人々が暮らしています。詳細は下記からご覧ください。 |
■サルアガセイエッド(イラン) |
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![]() photo by:Pantea Nikzad |
「屋根の上を歩ける村」で、次にご紹介するマスレと似ていますが、それよりさらに秘境という感じです。詳細は下記からご覧ください。 |
■マスレ(イラン) |
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「屋根の上を歩ける町」として有名で、イランでは国内有数の観光地として知られています。詳細は下記からご覧ください。 |
■トンコナン(インドネシア) |
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スウェラシ島のトラジャ族の地域で見られる、船の形をした独特な住居のことです。詳細は下記からご覧ください。 |
■エチオピアの少数民族の伝統住宅 |
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エチオピア南部の「オモ川流域」には、たくさんの個性的な少数民族が暮らしていて、日干しレンガや草などを利用した住居が建てられています。下記からご覧ください。 |
■二崁聚落(台湾) |
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澎湖諸島にある集落で「アーカン」と言います。サンゴや貝殻が建築材として使われていて独特の雰囲気を醸し出しています。詳細は下記からご覧ください。 |
■福建土楼(中国) |
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福建省にある巨大な集合住宅で、一族の数十世帯・数百人が共同で暮らしています。詳細は下記からご覧ください。 |
■チュニジアの伝統的倉庫 |
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こちらは住居ではないのですが、チュニジア独特の伝統的な建物で、一般的には倉庫として使われてきました。その特異な見た目からスターウォーズのロケ地として世界的に有名です。詳細は下記からご覧ください。 |
■カッパドキア(トルコ) |
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トルコの世界的な奇岩地帯で、ギョレメの町などではキノコ岩がそのまま住居などに利用されています。詳細は下記からご覧ください。 |
■チチカカ湖のトトラの家(ペルー) |
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ペルーとプーノにまたがるチチカカ湖では、先住民族がトトラという浮き草を使って、なんと島をつくり家を建てています。詳細は下記からご覧ください。 |
■サンタナ村(ポルトガル) |
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マディラ島にある村で、独特の茅葺(かやぶき)屋根が特徴です。詳細は下記からご覧ください。 |
■ドゴン族の伝統住居(マリ) |
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ドゴン族はマリの先住民族で「住居」「仮面」「ダンス」「彫刻」「漁」「神話」など多くの見どころがあります。詳細は下記からご覧ください。 |
世界の面白いデザインの建物については「世界の変わった外観の建物総特集」を、世界の様々な街や村については「世界のすごい街や村総特集」をご覧ください(^^)
航空便例 | ・日本-カイロ(約13時間)
・カイロ-サユーン(約3時間半) |
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ベストシーズン | 11月~3月 |
外務省 | 外務省 海外安全情報 イエメン |
ガイドブック | 中東のガイドブック |
ビザ | ビザ取得が必要 |
パスポート残存期間 | 入国時3ヶ月以上。イスラエルのスタンプがあると入国できない。 |
時差 | -6時間(サマータイム無し) |
チップ | 基本的に不要 |
日本への電話 | 00(国際識別番号)と81(日本の国番号)をつけて、市外局番(東京:03など)や携帯電話の090などの最初の0を取る。
例)03-9999-9999へかける場合 |
現地で使えるアラビア語 | ①おはよう。
サバーフ ルハイル
②こんにちは。
③こんばんは。
④ありがとう。
⑤さようなら。
⑥はい・いいえ |
電圧とプラグ | 230V /B3とC型
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通貨 | イエメン・リアル(通貨コード:YER、記号:YR)で、補助通貨は「フィルス(Fils)」。1リアル=100フィルス。
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日本大使館 | ・HP
・在サウジアラビア日本国大使館が兼轄 |
イエメンの絶景一覧 |
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