チッタゴンは世界最大級の「船の墓場」です。世界中から集まった巨大な船を素手と素足の男たちが人力で解体していきます。観光地ということではないのですが見学は可能な場所です(^^)
「チッタゴン」徹底ガイド:目次
1・拠点の街・最寄り空港・宿泊・通貨
1-1:チッタゴン
1-2:ダッカ
2・チッタゴン空港から市内
3・ダッカからチッタゴン
3-1:鉄道で行く
3-2:バスで行く
4・船の墓場
5・世界の○○の墓場
6・観光の基本情報
グーグルマップを多用しているので通信環境の良い状態でご覧ください。マップの画面が黒くなっていたり、前後の文脈と合ってないなと感じたときは、ページを更新してみてくださいm(_ _)m
チッタゴンはバングラデシュ第2の都市で、国内最大のチッタゴン港があります。学問・文化・芸術の中心地でもあり、交易地としての数千年の歴史が多様な文化を形成しています。人口は約372万人。
最寄りの空港はチッタゴンの「シャーアマーナト国際空港(CGP)」。国内外合わせて約10都市に就航しています。最新の就航路線はこちら。格安航空券はこちらです。
宿はこちら。(地図に値段が表示されてない場合、拡大縮小してみてください)
ダッカは7世紀からの歴史が残る古都で、ムガル帝国の時代にベンガル州都になりました。1971年に独立してからは積極的な経済発展政策を行うも、急激な人口増加を招いて混乱や負のスパイラルにつながりました。2013年には「世界で最も住みやすい都市」のワースト2位になってしまっています。人口は約1623万人。
最寄りの空港はダッカの「シャージャラル国際空港(DAC)」。国内外合わせて約30都市に就航しています。最新の就航路線はこちら。格安航空券はこちらです。空港から市内への移動は「ダッカ:徹底ガイド」をご覧ください。
宿はこちら。(地図に値段が表示されてない場合、拡大縮小してみてください)
通貨はタカ(通貨コード:BDT、記号:৳)。補助通貨はポイシャ(p)で1タカ=100ポイシャ。高額になると専用の単位が使われて、10万タカを「1ラーリ」、1000万タカを「1カロール」と呼びます。本日のレートはこちら。
チッタゴン空港から市内
photo by:bromora
空港は市内中心部から南に約20km離れています。市内への移動方法はCNGというトゥクトゥクかタクシーです。
■所要時間
・昼:約1時間
・朝や夕方:約1時間半
■料金
・トゥクトゥク:約700タカ
・タクシー:約1000タカ
CNGはバングラデシュで市民の足として使われていて、タクシーは流しではほとんど見かけません。
■CNG
photo by:Shadman Samee
ダッカからチッタゴン
photo by:Anik Sarker
ダッカ中央駅からチッタゴン駅まで直通列車が出ています。
・1日6本程度
・所要時間:7~10時間
・料金:180~1180タカ
■チッタゴン駅
photo by:Kritzolina
ダッカの「サエダバッド・バスターミナル」などから、チッタゴン駅前などへの直通バスが出ています。
・所要時間:6~8時間
・料金:500~1200タカ
「船の墓場」は「バティアリ(Bhatiari)」というエリアにあり、チッタゴンの中心地「GECサークル」からは北西に約15km離れています。アクセスはCNGになりまして、所要時間は約40分、料金は往復で800~1000タカです。
バティアリの海岸沿い一帯で解体が行われていて、衛星写真を見ると巨大な船が並んでいるのが分かりますΣ(・∀・;)
横向きにチョンチョンと並んでいるやつですね。ズームしていただくと解体されている状態なのも見て取れます。
世界には観光船・商船・貨物船と巨大な船が無数に航行していますが、他の乗り物と同じく、いずれは廃棄することになります。しかし、この廃棄はとてつもなく大変な作業のため、貧しい発展途上国の人々が危険と隣り合わせで行っている状態なんです。
■チッタゴンに集まる船
具体的には世界の全ての解体量のうち、インドが約35%、バングラディシュが約25%、パキスタンが約15%、実に合計75%が南アジアで解体されています。さらに、トルコと中国が約10%ずつなので、たった5カ国で世界の船の95%を解体していることになります(,,゚Д゚) 現地はこんな感じです。画面をグルっと回して周囲を見てみてください。
奥には巨大な船が並んでますね。門が閉まっているのも分かると思います。実は、ここは観光地になっているわけではありません。数年前にナショナルジオグラフィックが取り上げて以来、欧米を中心に労働環境に対して非難の声があがり、取材も観光も敬遠されるようになりました。
そもそも、人々は好き好んでこの仕事をしているわけではないですしね(-_-;) それでは解体されている船を見てみましょう。
スゴいですね…大迫力です…(,,゚Д゚)
チッタゴンで初めて解体が行われたのは1965年のこと。1960年にギリシャの船がサイクロンで座礁し、海に戻せないまま5年が過ぎたので地元の企業が買い取って廃棄しました。それが大きな利益を産み出し、次第に産業になっていき、1990年代には世界で2番目のシェアにまで成長しました。
干満の差が大きい場所だったことも解体場に適していました。何せ巨大なので解体場までの運搬が大変です。そこで最も効率的なのが、潮が満ちたときに船を解体場につけてしまい、潮が引いたときに作業をするという方法だったんです。大型船1隻は3~4ヶ月で解体され、ボルト1つに至るまで徹底的にリサイクルすることで1億円以上の利益が生み出されます。
現在、約20万人がここで働いていて、バングラデシュで使用される鉄の約60%を産み出しています。もはや、バングラデシュの基幹産業になっているのですが、とにかく労働環境が劣悪です。
まず、船には有害なアスベスト・フロンガス・ポリ塩化ビフェニル・鉛・水銀などが含まれていて、それらを吸い込んだり触れたりすることで肺ガンなどの健康被害が引き起こされます。しかし、防じんマスクなどはありません。
photo by:Naquib Hossain
加えて、作業はほとんど人力で行われていて、例えば船体の巨大な壁を剥がすのも、バーナーで穴を開けていったあと、ロープをかけて大勢で綱引きのように引っ張ったりします。しかも…
photo by:Stéphane M. Grueso
素手と素足ですΣ( ̄□ ̄;) 当然ケガ人が出るのは日常茶飯事で、昔は1週間に1人が事故で亡くなると言われていました。さらに、1日の労働時間は約14時間にもなり、それで週6日働き通しても月収は1万円程度です。
photo by:Stéphane M. Grueso
この現状が世に知られると「現代の奴隷制度である」と批判が巻き起こります。2009年には国連が船舶の再利用についての国際条約を採択しますが、未だに条件が満たされておらず発効に至っていません。
photo by:Stéphane M. Grueso
ちなみに、観光は全く出来ないかと言うと、そういうわけではありません。近くまで行って現地の人に「少しだけ見たい」と言うと、すんなり入れてくれたりします。人によりけりという感じなので、断られても何人か聞いてみてください。別に違法行為というわけではありませんので。ただ、写真をあからさまに撮るのは断られます。
以上になります。現代の光と闇を見ることができるチッタゴン。興味がある方は安全第一で行ってみてください(^^)
ダッカ発の日本語で予約出来る現地ツアーもあります。詳細はこちらからご覧ください。
■サリコビーチ(アンゴラ) |
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アフリカのアンゴラにある「船の墓場」です。詳細は下記からご覧ください。 |
■Cimitero delle barche(イタリア) |
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「難民船の墓地」で、山のように積まれた船が観光名所となっています。詳細は下記からご覧ください。 |
■ムイナク(ウズベキスタン) |
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「20世紀最大の環境破壊」の舞台である「アラル海」のほとりにあった街で、急速に収縮した湖の跡に残されたいくつもの船が物哀しく荒野に佇んでいます。詳細は下記からご覧ください。 |
■SS Ayrfield(オーストラリア) |
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シドニーにある廃船で、奇跡的にマングローブが発芽して今の状態になりました。詳細は下記からご覧ください。 |
■難破船マヒノ号(オーストラリア) |
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オーストラリア東部にある世界最大の砂島「フレーザー島」に佇む難破船です。全長120mと迫力があります。詳細は下記からご覧ください。 |
■モートン島(オーストラリア) |
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15隻の船が「防波堤」として人工的に沈められています。すでに赤茶けているので非常にフォトジェニックです。詳細は下記からご覧ください。 |
■Miss Piggy Plane Wreck(カナダ) |
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50年以上前に墜落した飛行機の残骸が残されています。「ベルーガの首都」「シロクマの首都」と呼ばれるカナダのチャーチルにあります。詳細は下記からご覧ください。 |
■SSイタカ号(カナダ) |
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こちらもチャーチルにあります。詳細は下記からご覧ください。 |
■ナヴァイオビーチ(ギリシャ) |
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ナヴァイオは「難破船」を意味していて、「紅の豚」の「ポルコの隠れ家」のモデルとしても有名です。詳細は下記からご覧ください。 |
■チアトゥラ(ジョージア) |
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旧ソビエト主導の繁栄と衰退を味わった町で、ゴーストタウンに近い雰囲気と、ウソのように錆びついたロープウェーが旅人を惹きつけます。詳細は下記からご覧ください。 |
■ワディ・ドゥーン(チャド) |
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![]() photo by:David Stanley |
アフリカの秘境・チャドにある「戦車の墓場」です。詳細は下記からご覧ください。 |
■列車の墓場(ボリビア) |
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有名なウユニ塩湖にあります。町からも近いのでツアーに参加すると必ず訪れます。詳細は下記からご覧ください。 |
航空便例 | ・日本-香港(約5時間)
・香港-ダッカ(約3時間45分) |
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ベストシーズン | 10月~3月(乾季) |
外務省 | 海外安全情報 バングラデシュ |
ガイドブック | バングラデシュのガイドブック |
ビザ | 事前に観光ビザの発給が必要。発行日から6ヶ月有効で、最長90日間滞在可能。 |
パスポート残存期間 | 入国時6ヶ月以上。未使用査証欄3ページ以上。 |
時差 | -3時間(サマータイム無し) |
チップ | 基本的には不要 |
日本への電話 | 00(識別番号)と81(日本の国番号)をつけて、市外局番(東京:03など)や携帯電話の090などの最初の0を取る。
例)03-9999-9999へかける場合 |
現地で使えるベンガル語 | ①おはよう。
アッサラームアライクム
②こんにちは。
③こんばんは。
④ありがとう。
⑤さようなら。
⑥はい・いいえ |
電圧とプラグ | 220V
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通貨 | タカ(通貨コード:BDT、記号:৳)で補助通貨はポイシャ(p)。1タカ=100ポイシャ。10万タカを「1ラーリ」、1000万タカを「1カロール」と呼ぶ。
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日本大使館 | ・HP |
バングラデシュの絶景一覧 |
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