サナアの見どころ

 

サナアは世界最古の町の1つとされていて、「ノアの方舟」で有名なノアの息子であるセムが造ったと言われています。もはや神話レベルの歴史があるということですね。

 

実はイエメンは、2007年頃までは中東によくある「危険な地域を除けば普通に観光できる国」でした。しかし、2009年には日本人技師の拉致事件が起こるほど治安が悪化し、2015年からは内戦状態に入ってしまいました。当記事は平和な時代の情報としてご覧ください。

 

 

「サナア」徹底ガイド:目次

グーグルマップを多用しているので通信環境の良い状態でご覧ください。マップの画面が黒くなっていたり、前後の文脈と合ってないなと感じたときは、ページを更新してみてくださいm(_ _)m

 

 

拠点の街・最寄り空港・宿泊・通貨

 

 

サナアはイエメンの首都で、標高2300m地点にあるため夏でも平均気温は27度くらいです。新市街と旧市街があり、旧市街は1986年に世界遺産に登録されています。人口は約180万人。

 

最寄りの空港はサナア空港(SAH)。現在は内戦の影響でほとんど使われていないようです。

 

通貨はイエメン・リアル(通貨コード:YER、記号:YR)で、補助通貨は「フィルス(Fils)」。1リアル=100フィルスで、本日のレートはこちら。

 

 

 

空港から市内への移動

「サナア」徹底ガイド 【旅の大事典】 
photo by:Konstantin von Wedelstaedt

 

空港は市内中心部から北に約15km離れています。市内への移動方法は、タクシーか「ダッバーブ」という乗り合いワゴンになります。2007年頃はダッバーブなら30リアル(約12円)で行けました。

 

 

サナア旧市街

サナアの見どころ

 

旧市街は高さ12mの城壁に囲まれた1km四方のエリアで、約5万人が暮らしています。元々は「アザル」という名前でしたが、いつのまにか「堅牢な要塞」を意味する「サナア」に変わりました。

 

かつての平和な時代には、バッグパッカーが口を揃えて「もう一度行きたい街」「いつか絶対に行ってみたい街」のNo.1に挙げていました。理由は写真の「バーバルヤマン(イエメン門)」をくぐったとたん、中世の世界にタイムスリップ出来るからです。

 

サナアの見どころ
photo by:Rod Waddington

 

まず、これはイエメン全体でそうなのですが、男性たちは腰に「ジャンビア」という独特の刀を差していますΣ(゚∀゚ノ)ノ

 

サナアの見どころ
photo by:stepnout

 

日本の武士の風習である「元服」のようなもので、一定の年齢に達した男子は大人とみなされ、その証として腰にジャンビアを差すようになります。とても親近感が湧きますよね。しかも、その文化が今も残っていることがスゴいです(,,゚Д゚)

 

「サナア」徹底ガイド 【旅の大事典】
photo by:Jialiang Gao

 

本当に切れる刀なので怖い気もしますが、現地では「口論になった場合、先に刀に手をかけた方が負け」という暗黙のルールがあります。これはイエメンの男性がジャンビアを「民族の誇り」と捉えていて、軽はずみに武器を取ることは恥だと考えるからです。

 

「サナア」徹底ガイド 【旅の大事典】
photo by:Dan

 

この「高潔さ」も武士や日本人そのものに通ずるところがあります。金曜日や祝い事の際には、男たちがジャンビアを持って舞う「ジャンビアダンス」を見ることができます(^^)

 

 

では女性はどうでしょうか。イスラム教の国では女性は肌の露出を抑えるのが基本です。その度合は国によってマチマチですが、イスラムの戒律を厳格に守るイエメンでは「ニカブ」や「ブルカ」が一般的です。

 

サナアの見どころ

・ブルカ:全身を覆うベール。目もメッシュで覆われている。
・ニカブ:全身を覆うベール。目だけ出ている。
・チャドル:全身を覆うマント。前は開いている。
・ヒジャブ:頭や耳を覆うスカーフ。首から下は洋服でもOK。

 

初めて見るとギョッとしてしまいますが、日焼けや砂嵐から身を守ったり、顔を見せないことで男に襲われる機会が減ったりと、機能的・文化的な側面も注目したいところです。もちろん「女性差別」との批判もあり、他文化の人間が口を挟むのは難しい部分があります。

 

「サナア」徹底ガイド 【旅の大事典】
photo by:Al Jazeera English

 

このほか、アバヤ、デュパッタなどイスラム女性の衣装はとても種類があります。そして、タイムスリップの一番の要因は、突如立ち並ぶ高層住宅です。

 

サナアの見どころ

 

一帯は砂漠なので木材で家を造ることが出来ず「日干しレンガ」が使われています。本来は高層建築に適さない素材なのですが、イエメンの日干しレンガは紀元前3000年頃から作られているため品質が高く、他の国の日干しレンガとは強度のレベルが違うため、この奇跡的な景観が生まれました(,,゚Д゚)

 

多くは4~7階建てで、高さは20mほどが一般的です。高層になった理由は、土地活用や敵からの防衛、女性を男性の目から遠ざけるためなど様々あります。また、1・2階部分は堅固な石造りになっているので、洪水が起こっても溶けたり流されたりすることなく耐えられるそうです。

 

サナアの見どころ

 

1階が家畜小屋、2階は穀物貯蔵庫、3階は男性用居室、4階は女性用居室、最上階は「マフラージ(社交場)」というつくりが基本です。

 

サナアの見どころ

 

特徴的な窓は「カマリア窓」といって、外敵の侵入をふせぐため2階以上に造られています。外側の輪郭が石灰で塗られいて、日干しレンガの単調な外観に可愛らしい彩りを与えています。実はステンドグラスになっているので、部屋の中は、外からは想像できない華やかな空間になっています(^^)

 

 

「カマリア」はアラビア語で「月」を意味する「カマル」からきているのですが、中から見ると「美しく光る半月」のように見えるからなのかもしれません。

 

ちなみに、ここが「マフラージ(社交場)」で、男たちが集まりカートやシーシャ(水タバコ)を楽しむ「カートパーティ」が行われます。「カート」は覚醒作用がある常緑樹の葉っぱで、ケニア、ソマリア、エチオピア、イエメンなどの紅海沿岸諸国で嗜好品として許可されています。イエメンに行くと、男たちが常にカートで口の中をいっぱいにしている様子を見ることができます。

 

サナアの見どころ
photo by:Ferdinand Reus

 

これらの高層住宅は「イエメン様式」と呼ばれていて、2500年の歴史があるサナア旧市街には、およそ6000棟が立ち並んでいます(,,゚Д゚)

 

サナアの見どころ

 

街には630年に建てられた大モスクをはじめとして、106のモスクと64のミナレットがそびえ立ちます。画面をグルっと回して周囲を見てみてください。

 

 

ミナレットは高さ50mに達するものもあり、旧市街のエキゾチックな空間を演出しています。そして夜になると、街は文字通りの「アラビアン・ナイト」に姿を変えます(^^)

 

サナアの見どころ

 

電灯が一部にしかないため街は神秘的なあかりに包まれます。「暗い」ということは「危ない」のではないかと思われるかもしれませんが、少なくとも2007年頃までは全く問題ありませんでした。

 

 

イエメンの人々は、とにかく優しくて人情味が溢れることで知られています。食事をおごってくれたり、家に招いてくれたり、それでいて他のアラビア諸国のように「バクシーシ」を求められることもありません。

 

「サナア」徹底ガイド 【旅の大事典】
photo by:Rod Waddington

 

古代ローマの時代に「幸福のアラビア」と讃えられたイエメンは、現代においても旅人を優しく包み込む国だったんです。

 

サナアの見どころ
photo by:Ibrahem Qasim

 

しかし現在は内戦状態にあり、サナア旧市街は2015年に危機遺産に登録されてしまいました(´Д`) いつの日か、バッグパッカーの聖地が蘇ることを祈るばかりです。

 

 

ワディ・ダハール

 

 

もし再びサナアに行けることになったら忘れてはいけないのが、サナアから北西に約15km離れた場所にある大峡谷「ワディ・ダハール」です。全長は100km以上、最大幅は約3km、深さも150mに及ぶ大峡谷で、それ自体見ごたえがありますが、とにかく峡谷の底にある町が素晴らしいです(,,゚Д゚)

 

サナアの見どころ

 

ハイライトは「ロックパレス」。昔のイエメン王家の夏の離宮で、岩の上に旧市街と同じ高層建築が建てられています。観光できた頃の入場料は500リアルでした。「シンドバットの冒険」に出てきそうな砂漠の宮殿で、当時のバッグパッカーはみんなここを目指しました。平和が戻るそのときまで無事に残っていることを切に願います。

 

サナアの見どころ

 

以上になります。イエメンは「モカコーヒー」の産地としても有名です。行けるようになったら、ぜひ味わってみてください(^^)

 

 

世界のすごい城壁都市

■ルッカ(イタリア)

壮大な城壁に囲まれた街で、日本では「進撃の巨人」の世界観に似ていると人気です。詳細は下記からご覧ください。

「ルッカ①アクセスと城壁」徹底ガイド

■チェスター(イギリス)

ウェールズとの境にある街で、極めて保存状態が良い城郭都市として有名です。チェスター様式の建物が並ぶ「ザ・ロウズ」は、映画の世界に入ったようでオススメです。詳細は下記からご覧ください。

「ザ・ロウズ」徹底ガイド

■エルサレム(イスラエル)

エルサレム旧市街は全長4.5kmの城壁で囲まれています。城壁の上は歩けるようになっていて、11の門と43の見張り塔があり、その内部は4つの地区と「神殿の丘」に分かれています。詳細は下記からご覧ください。

「エルサレム③城壁の門と神殿の丘」徹底ガイド

■ヒヴァ(ウズベキスタン)

中央アジアは城壁によって「イチャン・カラ(内城)」と「デシャン・カラ(外城)」に分けられることが多く、ヒヴァのイチャン・カラは最も有名な場所として知られています。詳細は下記からご覧ください。

「ヒヴァ①アクセスと概要」徹底ガイド

■ドブロブニク(クロアチア)

「アドリア海の真珠」と称される美しい街で、旧市街は世界遺産に登録されています。詳細は下記からご覧ください。

「ドブロブニク①アクセスと城壁」徹底ガイド

■カルタヘナ(コロンビア)

コロンビアの有名なリゾート地で、旧市街がグルっと城壁に囲まれています。出入り口はフォトジェニックな時計台で、この内外で治安が変わるので注意が必要です。詳細は下記からご覧ください。

「カルタヘナ②観光の見どころ」徹底ガイド

■ルツェルン(スイス)

スイスでも屈指の美しい街で、元々は街全体を囲んでいた「ムゼック城壁」が900mほど今に残されています。詳細は下記からご覧ください。

「カペル橋」徹底ガイド

■ローテンブルク(ドイツ)

「おとぎの国」「中世の宝石箱」と称されるほどカワイイ町並みが人気で、全体が城壁で囲まれています。詳細は下記からご覧ください。

「ローテンブルク②町の見どころ」徹底ガイド

■カルカッソンヌ(フランス)

ヨーロッパ最大の城壁都市で、全長3kmにも及ぶ2重の城壁で囲まれています。詳細は下記からご覧ください。

「カルカッソンヌ②観光の見どころ」徹底ガイド

■マラケシュ(モロッコ)

旧市街のメディナが城壁に囲まれていて、たくさんの門が設置されています。詳細は下記からご覧ください。

「マラケシュ」徹底ガイド

 

世界には他にも魅力的な街や村がたくさんあります。興味のある方は「世界のすごい街や村総特集」をご覧ください。当サイトで取り上げている場所の中から、特にすごい151ヶ所を9つのエリアに分けてご紹介しています(^^)

 

 

観光の基本情報

航空便例 ・日本-カイロ(約13時間)

・カイロ-サナア(約3時間)

ベストシーズン 4月~1月
外務省 外務省 海外安全情報 イエメン
ガイドブック 中東のガイドブック
ビザ ビザ取得が必要
パスポート残存期間 入国時3ヶ月以上。イスラエルのスタンプがあると入国できない。
時差 -6時間(サマータイム無し)
チップ 基本的に不要
日本への電話 00(国際識別番号)と81(日本の国番号)をつけて、市外局番(東京:03など)や携帯電話の090などの最初の0を取る。

例)03-9999-9999へかける場合
00+81+3+9999-9999

現地で使えるアラビア語 ①おはよう。

サバーフ ルハイル

 

②こんにちは。
アッサラーム・アライクム
マルハバン(午前中)
マサーウルハイリ(午後)

 

③こんばんは。
マサーウルハイリ

 

④ありがとう。
シュクラン

 

⑤さようなら。
マアッサラーマ

 

⑥はい・いいえ
ナアム・ラー

電圧とプラグ 230V /B3とC型

コンセントタイプ
コンセントタイプ

通貨 イエメン・リアル(通貨コード:YER、記号:YR)で、補助通貨は「フィルス(Fils)」。1リアル=100フィルス。

 

日本大使館 HP

・在サウジアラビア日本国大使館が兼轄

イエメンの絶景一覧

イエメンの絶景

 

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